寒くて凍えそうな手を、
パーカーのポケットに入れて空を仰いだ
温かい春の光はまだ遠い、寒い雪国の三月
生まれ育った街を出る高校三年の最後の日
からっぽになった自分の部屋
18年のこの街の思い出と
15年のきみの思い出を集めた
ひとつずつ、ひとつずつ、
春が来たらぼくはここにいない
春が来たらきみはここにいない
明日からもうぼくの毎日にあの姿は映らなくなるのだと
ぼんやりと思った
この街を出てしまったら
もう何も意味がないのだとわかっていた
独り静かに泣いた
あの感情は今も言葉に出来ない
きみの背中を追いかけて過ごした日々だった
桜が咲くのはずっと先
春はまだ遠い、(ぼくの青春の最後の日)
20091023
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