あなたがいない あと1年を どうやって過ごせばいいのだろう。


笑ってくれたあなたも 叱ってくれたあなたも 鮮明に思い出せるのに、明日からこの日常が消えてなくなるなんて嘘だと言って。
















































「なあ   」


「はい 」


「おまえ来年から   屋上ばっかきて   さぼんなよ」


「     、 せんぱい   人の事言えないじゃないですか」


「はははー  まあ そうだけどな」





「ここ、  おきにいりですもん あたし」


「そっか」


「はい」


「うん」





「       せんぱいに、 初めて会った場所だから、。」





「そうだった、な」


「   そうですよ」























いつまでも他愛のない話をして、お昼ごはんを一緒に食べて、 この屋上はまるでせんぱいとあたしの秘密基地みたいだった。 この灰色の学校で唯一あたしの居場所だった。























「         ふは、」


「    なんですかいきなり」


「いや おれいつもここでサボっててさ、」


「ですよね」


「即答すんなって! ここからいつも向こうの校舎見えんだけどさ」


「  はい」


「おまえ窓側一番後ろの席だったろ、?」





「       え、」





「いっつも独りでつまんなそーにしててさー、 おれ実はすげー気になってた」


「       、。」


「そしたら しばらくした後の昼休み、   おまえここに来るんだもん。  まじビビったわ」


「   だって、」


「ついにおれの気になるビームが通じたのかと」


「  馬鹿じゃないんですか」


「冷たいなーおまえは   最後まで」























夏はアイスを食べながら日陰を探して、冬は悴む手を擦りながらくっ付き合った。 せんぱいがいない日は寂しくて、短い休み時間に一瞬だって会えたら嬉しくて、 此処でいろんな話を、いろんなことを、して過ごした。























「      、 あたしも 会ってみたかったんです、 」





「 お   、相思相愛?」


「     いつも教室から見えてた、この屋上にいるせんぱいに」








「 ふふふ    おまえに初めて会ったあの日、   おれ 、 超嬉しかった」























青春だなんて青臭くてきらきらした言葉に出来るほど楽しいだけの毎日じゃなかった。 憂鬱も葛藤も山積みの日々だった。 だけど、。 どうしようもない哀しみを 掬いあげてくれる大きな手 があることも、 青空の大きさを伝えられる相手がいる 喜びも、 名前を呼んだら答えてくれる距離に 愛おしい人がいてくれる幸福 も、


せんぱい、  あなたがいなければ 何ひとつ知らないままでした 。
























「せんぱい、」








「あー?」























またねって
























「卒業  、     おめでとうございます 」








「ありがと」























どう
























「         元気で、 な 」























 

せんぱい     行かないで、 












あたしは この灰色の小さな世界で やっと酸素を取り戻したの、。 あなたが あたしを 見つけてくれたあの日 から 。







20100322