クリスマスなんて大嫌いなのだ。 目の痛くなるようなネオンに頭痛を覚えて、 街に溢れる赤と白の服を着た売り子の人間にさえ嫌悪を覚える。 それに、うるさく繰り返されるクリスマスソング。吐き気がする。 特に都会の人間が作った冬の唄なんか大嫌い。 リアル感の欠片もない想像の雪景色の唄。雪なんか少しも降らないのに。 だからわたしには何の音も響かない。ヘッドフォンで世界を遠ざける、だけ。















































嗚呼 空っぽだ。 わたしはこの年末の空気が好きではないんだ。 一年の集大成とばかりに何もかもが忙しくて、目が回って。 まるで問われているみたいなのだ、。 「おまえは一年どう生きたのか」 「おまえは年の終わりに胸を張れる程ちゃんとこの一年を過ごしてきたのか」 「おまえはいま幸せなのか」 その問いにわたしは満足に答えられない。 ただ自分のちっぽけさと、何も得てはいない両手に気付かされるだけなのだ。











きみと過ごしたあの冬を思い出す。 だけどきみはここにいない。 誰にも告げずに何処かに行ってしまった。 あれから何度年を重ねたのかなんて、数えるのをやめた。 もうずっと、ずっとわたしの時間は止まったまま。


何度も何度も夢にみる、 もう顔も声も曖昧なのに繰り返されるのは いつだってあの日々で。 魘されて目が覚めて 現実に絶望して、だけど本当はそんなことしなくたってわかってる。 あの日々はもう戻らない。絶望なんて無意味でしかないんだって。 最初はわけもわからずぐちゃぐちゃに泣けたのに、もうそれもできない。 記憶が薄れていくのと同じように、痛みも薄れていくんだろうか。 それがなによりも哀しかった。痛い方がまだマシだった。覚えていられるなら。 何度となく夢にみる。 もう数え切れない程絶望に突き落とされたのに飽きもせず、。
















































あの冬はただに染まる












きっといまごろふるさとには雪が降ってる。 この街よりもずっと寒くてちゃんと冬の匂いがしてる。 まるであの冬の日のように。





20100322