さっきから彼女はうとうとしている。
(会話がおかしい。明らかに呂律が回ってない)









いつものようにご飯を食べて、テレビを見て、
ベッドの上で他愛のない話をしていたのだ、が、 眠気の限界みたいだ。









「 眠んな、   ね?」


「   でも、」




「 明日は休みなんだ、 何処にも行かないよ? 」




「 なんでいいたいことわかった、の 」


「 わかるよ。 顔に書いてある 」


「 へへへ、  」









すごいね、そう言いかけて彼女は眼を閉じた。


いつも眠れないと嘆く彼女が、こんなに一瞬で眠りに落ちるのだ。
加えて、いつもは意地っ張りのくせにやけに聞き分けがいい。
きっと何かあったに違いない。だけど僕は聞かない。
(彼女のほうから言い出すのを待てばいい)


いま必要なのは、彼女の隣で僕も目を瞑ること。
















おやすみ、いい夢を













「     ね  え、」


「 うん?」


「             あ、 り が と、  ね  」









ゆっくりひとこと吐き出して、静かに寝息を立て始めた。
無意識なのか、ぎゅっと僕に抱きついて。 (こんなこと、普段なら絶対にしない)
素直な彼女にはやっぱりすこし調子が狂う。









きっとまた現実は僕らに厳しいけど、


せめていまだけは、優しい夢をみせて。






20091025
20091117, 加筆修正