#056


僕はきみの、
いつも前を向いて生きていく姿が好きだけど
ときどき心配になる
がんばりすぎないで


きみには、
疲れたら頼れる人がいるはずだから
立ち止まったっていいんだよ











#057


いつかあの日の続きがあるなら
ぼくは


やっぱりまた
きみのあの姿に焦がれるんだと、
おもう











#058


あの日からずっと思い続けたタイムリミットがもうすぐくる
もうきみの姿を見るのは最後になるかもしれない


ぼくはきっと泣くと思う
泣きたくなくても、泣くと思う






ほんとうは、いつだって逢いたかった


きみの存在に救われて
ぼくはいつだって息をしていた
きみの姿ひとつでぼくは
もう一度這い上がろうと、自分を奮い立たせることができたから




ほんとうは、いまも逢いたい











#059


いつか、もしもいつか、
僕らが生まれ育ったあの街でまた逢えたのなら
きみにもう一度笑ってほしい











#060


ねえ
こんな僕らもさ、
未熟すぎてたって
形式的には大人になったんだ






晴れ着姿の彼の姿を焼き付けておきたくて、
だけど忘れたくて、
喜ばしい日のはずなのに
ずっとずっと泣きそうだった


氷点下の、快晴
あの街らしい寒空の下で僕らは大人になった




久々に古い友人たちと会って
飲みながらむかしの話をして
夜中まで、朝方まで、


その短い時間だけは、
現実を忘れてただ笑っていた







夜中から朝方は、一層冷え込む


生まれ故郷の寒空を見ながら
静かに涙がこぼれるのを感じた
ただひとりで泣いた


涙が、止まらなかった




彼に出逢って17年
これが最後の日だって思った






いつかまた逢えたら
もしもいつかまた逢えたら


きみの幸せを見せてほしい


そのときは僕も
きみに笑って誇れるものがあったらいい




そんなことを思いながら、
僕はいつまでも泣いた











back




Copyright(C)2009 yuki All Rights Reserved.