#046


もう空は眺めない


墨汁色で霞んだ都会の空
あの街の空と繋がっているって信じたかった


窮屈で澄まない空は
ぼくをよけいに孤独にさせるだけだから


もうあのころと違うんだと
ただそれだけを投げかけ続けるから




かなしい、ね











#047


きみにだけは嘘をつくよ


きっと一生真実は知られないままの嘘を




たとえ途中で気付いても
どうか
しらないフリして笑ってて


ぼくのちっぽけな意地を
馬鹿みたいに笑ってて











#048


きみはわらって
前を向いて
ただひたすらに希望をもっていて


そう祈ることが
それが
ぼくのただの押し付けがましい、
願いになってしまうのかもしれないけれど


ぼくは、
きみにだけは笑っていてほしいと思う




笑った顔しか思い出せないきみは、
いつもいつも前を向くきみは、
ぼくの憧れだったから







祈れば叶うなんてそう甘くはないでしょう?


だけど、
それでも、
もしも、
叶うなら


祈って叶うなら
ぼくは何度でも馬鹿みたいに祈り続けるから


存在を信じたわけじゃない神にでも
仏にでも何にでも
祈ってやる






「あのきみの笑顔が、どうか絶えませんように」











#049


忙しく過ぎる日々の中で
ぼくは
あのゆっくりとした時間が流れていた日々を思い出す


あんな毎日はもう来ない






あの夏風を
あの空の色を
あの柔らかい匂いを


感じた夏が遠ざかっていくだけ




年を重ねていくことが
こんなに悲しいものだなんて思わなかった











#050


しあわせですかと問いたい


ぼくは答えを出すのに何秒もかかるけど


きみはきっと笑って
しあわせだ、 と即答するだろう


きみはそういうひとだろう?











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