#031


サンダルがキュッキュッと鳴く音が
脳の奥から記憶を引っ張り出す


歩くたびに響くその音を
ただぼんやりと聞きながら
あの夏を思い出した


あれからもう、2年が過ぎたのね


同じ夏を望んでも、もうこない
彼はいない






聴覚も嗅覚も残酷だ
薄れゆく記憶の断片を
一瞬にして連れ戻すのだから


胸の奥がきりきりと、泣いた











#032


人は繰り返す
いつかまた、と不確かな未来の約束を


いつか、
なんて残酷な言葉


もしかしたらそれは
もう二度と叶うことのない、薄っぺらい言葉


それでもぼくはいう、
『いつか』彼にまた逢いたい











#033


ほんとうは
泣きたかった


わすれないで、
また逢いたい、
そう言いたかった


明日も明後日も
今までと何一つ変わることなんてない、
同じ毎日を送りたかった


どんなにつらくても
何もかもがばらばらになってしまっても
居場所がなくなっても
きみの存在に救われて
18年間ぼくは呼吸を続けていたから






だからあの街を出ていくと決めたあの日に
きみもあの街を出て行くんだと知ったあの日に
溢れ出た気持ちは
さみしいなんて言葉では片付けられなかった
絶望に似た感情


だけど
こんなところでくたばってたまるか、って思ったの
弱弱しく泣いてる女に成り下がってたまるかって
それはいまでも変わらない


ときどき飲み込まれてしまうだけ
真っ黒で汚い、奥底から込み上げてくる感情に











#034


ひとりがいや、さみしい、とおもえるのは
あたたかい場所で生きて
いつも誰かがいてくれた証拠だ


だから、ね
ぼくにはわからない











#035


someday, you will live and laugh with someone.
someday, you will be happy with someone.


someday, you will forget me.
but
maybe i will remember you.






forget me not.


that is my only one wish.











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