#021


苦難ばかりで
でも、だからこそ
前を向いていなければならないのだ
強くいなければならないのだ


ねえでも
簡単そうにみえてむずかしいよ、
ぼくには


だからきみのことばかり思い出している


どんな言葉もくれなくていい
あのころ、ただその存在に救われていたんだ


ただ其処にいて
いてくれるだけで
良かった






く  る  し  い











#022


恋とはなんでしょうか


あんなふうに自分の想いを伝えるのに一生懸命になることを
すき、だとたったひとことを吐き出したあとの切なさを
息が出来ないくらいの、いままでにない胸の痛みを
止めることのできない涙を
歪んでいく視界を
自分のではない誰か、のしあわせをただひたすらに祈ることを


恋だというなら


ぼくはもう一度
恋ができるのでしょうか











#023


やわらかい時間が流れていた
ぼくはあの街で
いつも夢を見ていたのかもしれない


視界が曇った
頬を伝う液体の感触
その瞬間まで 気がつかなかった
刹那、
水がぽたりと床に落ちた


なみだがとまらない


いつかのしあわせ
虫食いの記憶
ノイズ交じりの声


ぼくのすべてだった
あの青の下で、たしかに笑っていた











#024


きみに出逢えて良かった


長い目で見れば長い長い人生のうちの一瞬
だけど
あのころのぼくには
若くてガキだったぼくには
ただあの瞬間だけがすべてだった


きみがいてくれてよかった


永遠なんて信じないぼくの、
あの刹那がぼくの永遠だった











#025


ぼくはときどきゆめにみる






まだしょうねんの、かれがわらう


あおぞらが


あおいあおいそらが


かれのうしろにひろがっている






かれがわらう






ゆめはいつもどこかかけていて


ぼやけていて


だけど


かれがわらうしゅんかんのくうきだけは


いまも






ゆめにみる






いまも、











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