#001


あれから何年経っても
思い出すことはいつも決まっている


あれから何回同じ日が来ても
何度も何度も思い出す


この世には
時が経てば消えていく想いも痛みもきっと山ほど在る


だけどそうじゃないもの、があるんだ


いつかの今日
僕は泣いていた
終わりを思っていた


遠い遠いいつか、











#002


雪景色が見たいと思う


生まれ故郷は雪国の田舎街で
きっといまごろ真っ白な世界になっているのだろう、
母さんから時折メールが来る
今年は寒いよ、雪が降りやまんよ、なんて


最初は都会の天気予報は大げさだと思った
僕にとってはなんてことない、ちらつく程度の雪でも大騒ぎになる
でもこの都会の人間から見たら
僕の生まれたあの街の気候の方がよっぽど馴染みのないもので、
きっとあんな寒さの中で真っ白な雪景色を見たらすごく驚くんだろうなと思った




恋しい


あの高く積った雪道を歩くときの音が
あの頬に突き刺さるような極寒の空気が
あの透きとおった冬の夜空が




あの白が見れないなら、「冬」じゃないんだよ


ぼくに冬はこない











#003


彼とわたしは幼いときからの腐れ縁で
つまり、そう、幼なじみというやつで
この世界にありふれた漫画やドラマの中の登場人物みたいな関係だった


だからあのころ周りにはよく言われていた
羨ましい、なんて
だけど安っぽい物語みたいな展開が僕らの間にあるはずがなく、
いつかを境に何かが変わるなんて進展もあるはずもなく、
その関係は今もあのころのまま、何も変わらず続いている


「幼なじみ」という響きだけで羨ましがられたけれど
わたしは今の彼を知る人が羨ましい
わたしは確かに“過去の”彼を知っている
だけど今の彼を知らない
思い出す彼は18歳のあのころのまま


彼は彼の街で生きている
わたしはわたしの街で生きている
彼はもうあの街にいない
わたしももうあの街にいない


僕らが生まれ育ったあの街には、きっといまごろ雪が降り積もっている
あの街を思い出すと必ず彼のことを思い出す
彼がいたことを、彼と同じ場所で確かに生きていたことを


彼は今でも、あのころと同じように笑うのだろうか











#004


ぼくはいつも
きらきらしたきみをみるとむねがくるしくなる


きみがかがやくからこそ、
ぼくはじぶんのちっぽけさにきづくんだ




でもぼくは、


きみのきらきらがすきだった











#005


祈るよ


きみが笑顔で生きていますように
きみが幸せで在りますように
きみの上に星が降り注いでいますように


きみが きみの大切なものを大切にして
きみが きみの愛する人と共に


僕にはどうしても生きにくいこの世界だけど、


どうか
きみは


笑って幸せだと生きていますように











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